術前のアセスメントのポイント【体液量平衡異常リスク状態】

周手術期実習

どうも!Naoyukiです!

今回は術後の看護問題として抽出されることの多い「体液量平衡異常のリスク状態」に関する術前のアセスメントを解説していきます。

今回、解説する内容には「後出血」や「サードスペース」に関する内容も含みます。

この記事を読んでいただいている人の中には「体液量平衡異常のリスク状態」よりも「後出血」や「循環血液量減少性ショック」などを看護問題にするよう指導を受けているかもしれません。

「後出血」や「循環血液量減少性ショック」と「体液量平衡異常のリスク状態」との関連も合わせて解説していきたいと思います。

今回の記事のあらすじ

術後に体液量平衡異常リスク状態になる理由を理解することができる

体液量平衡異常のリスクを判断するために必要な術前のアセスメントのポイントを理解することができる

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術後に体液量平衡異常リスク状態になるのはなぜか?

まず最初に術後に体液量平衡異常のリスク状態になるのかを解説していきます。

手術侵襲に伴い、血管内の細胞外液がサードスペースに移行する反応が生体内に生じます。

これについてはこの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

手術侵襲に伴い、血管内の水分が血管外に移行(ムーアの傷害相)し、しばらくして、再び血管内に戻ってくる(ムーアの変換相)反応や術後の出血などによって

体内の水分が不足したり、過剰になることが術後に予想されます。

まさしく、この予想が「体液平衡異常のリスク状態」になる訳です。

なので、体液量平衡異常のリスク状態に関する術前のアセスメントの視点としては

・手術侵襲に伴う水分の移動による循環動態の変動を調節する能力を有しているか?

・術後の出血を来しやすい状態ではないか?

などなどを考えていくことになります。

体液量平衡異常のリスクを判断するために必要な術前のアセスメントのポイントとは?

それでは、「体液量平衡異常のリスク状態」を判断するために必要な情報とその情報をゴードンの分類のどこで取り扱うかも解説していきますね。

虚血性心疾患や心不全、高血圧症などの既往の有無

心機能(安静時心電図、負荷心電図、心胸郭比)

情報収集する理由

虚血性心疾患や心不全、高血圧症の既往がある場合、心拍出量が低下している可能性があるため、術後の水分移動に伴う血圧の変動が起きた時の代償機構が不十分になる可能性があるため。

そのため、心疾患の既往歴の聴取だけでなく、心機能検査の結果も含めて包括的にアセスメントする必要が出てくる。

ゴードンの分類:活動

腎機能(Cre、eGFR,Ccr)、腎疾患の既往の有無

情報収集する理由

術前の腎機能値に異常を認める場合、術後の傷害相においては循環血液量減少に伴う腎血流量の低下によって腎不全のリスクが高まり

変換相においてはサードスペースから戻ってきた不必要な水分を上手く排泄できず、心負荷の増大は肺水腫を招くリスクがある。

ゴードンの分類:排泄

止血機能(血小板値、APTT、PT、抗凝固薬、抗血小板薬の服用の有無)

情報収集する理由

止血機能に異常が見られる、手術中の出血によって循環血液量が減少するリスクが高くなるため。

ゴードンの分類:栄養・代謝

手術侵襲の大きさ(手術時間)

情報収集する理由

手術侵襲が大きい術式の場合、サードスペース平衡する水分量や術中の不感蒸泄量が増えることで傷害相、変換相における循環血液量の変動が大きくなる可能性があるため。

ゴードンの分類:排泄

naoyuki
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事例を用いてアセスメントしていくねー!

事例

患者:70歳 男性 身長165cm  体重60kg

病名:肺がん(右下葉)

術式:胸腔鏡下右下葉切除術

手術時間(予定)9:00〜12:00(3時間)

既往歴:特になし

術前の検査結果

心電図:異常なし 心胸郭比:45%

Cre: 0.5mg/dl、eGFR:100ml/分/1.73m2

plt 27×104/μL、APTT 35秒、PT 12秒

栄養・代謝

O情報

plt 27×104/μL、APTT 35秒、PT 12秒

解釈・分析

止血機能に関する採血データに異常なく、術中の出血や術後出血のリスクの増加はない。

排泄

O情報

手術時間(予定)9:00〜12:00(3時間)

サードスペース:180ml〜900ml

Cre: 0.5mg/dl、eGFR:100ml/分/1.73m2

解釈・分析

腎機能値に異常は見られていない。

術後の傷害相におけるサードスペースへの水分移動に伴う循環血液量の減少に伴う腎不全や

転換相におけるサードスペースの細胞外液の血中へ戻る時の心負荷や肺水腫のリスクはあるため術後の水分出納のモニタリング をしていく必要がある。

活動

O情報

心電図:異常なし 心胸郭比:45%

心疾患の既往歴なし

解釈・分析

心機能に関する検査データに異常はなく、術後の循環動態の変動に対する代償機能を有していると考えられる。

統合

心疾患に関する検査データに異常はなく、止血機能や腎機能値も正常であることから術後の循環動態が著しく変動するリスクは高くはないと考えられる。

しかし、術後、傷害相におけるサードスペースへの水分の移行に伴う循環血液量の減少や転換相における循環血液量の増加に伴う循環動態の平衡が崩れる可能性がある。

そのため、術後における水分出納のモニタリング やVSなど循環動態が保たれているかなどの介入をしていく必要がある。

#体液量平衡異常のリスク

naoyuki
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細かい内容は省略している部分もありますが参考にしてみてねー!

まとめ

今回は術前のアセスメントのポイント【体液量平衡異常リスク状態】として

術後に体液量平衡異常リスク状態になる理由を理解することができる

体液量平衡異常のリスクを判断するために必要な術前のアセスメントのポイントを理解することができる

について解説しました。

今回の記事が読んでいただいた皆さんのお役に立てたら嬉しい限りです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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