どうも!Naoyukiです!
今回は周手術期実習で誰もが考えるであろう「サードスペース」について取り上げようと思います。
僕が学生の頃
そんな状態ですから、サードスペースのことを理解するのに時間を要してしまいほとんど眠れない日を数日、過ごすことになってしまいました。
実際にTwitterの方にも
周手術期について
解決したと思ったら違う所でまたわからないところが…2.3時間調べたけどイマイチな…
皆さんサードスペースの移行量ってどうやって把握してるんですか…— まめ (@mame_tannn) January 1, 2016
てな具合にサードスペースに関する質問や疑問を抱えている人は多い訳です。
そこで、今回は
・サードスペースとは何なのか?
・サードスペースてどのように計算するのか?
この二つを解説していこうと思います!!
サードスペースて何?
サードスペースを理解する前に、まずこの図をみてもらいたいと思います。
僕たちの細胞は血管から水分であったり、栄養をもらっています。
そして、細胞と細胞の間には間質液という、水分で満たされている状態です。
手術侵襲が加わるとこの図がどうなるかというと
手術侵襲によって細胞が壊されると、炎症反応が起きます。
その炎症反応によって血管から水分(血しょう)が滲み出てきます。
血管から滲み出た水分が溜まることで、一定のスペースができてしまいます。
このスペースのことをサードスペースと言います。
サードスペースにある水分は術後2日目ごろまでは、そのままの場所に止まっています。
なので、血管の中の水分は少なくなってしまいます。
だからこそ、手術後は点滴を行う必要があります。
サードスペースは術後2日目〜4日目に血管の中に戻っていきます。
なので、血管の水分が多くなってしまうので不要な水分は尿として排泄されます。
それでは、次にサードスペースの計算方法を紹介していこうと思います。
サードスペースてどのように計算するの?
サードスペースの計算方法は手術侵襲の程度で少し変わります。
・体の表面の小さい手術の場合:1〜2ml✖️体重Kg✖️手術時間
・中等度の開腹術の場合:3〜5ml✖️体重Kg✖️手術時間
・広範囲の開腹術や開胸術の場合:5〜15ml✖️体重Kg✖️手術時間
以上の3つの計算方法でサードスペースは計算ができます。
実習で受けもった患者さんの術式に応じて、3つの計算式の中から適切なものを選択すれば問題ないです。
参考として、胃切除や腸の切除などは中等度の開腹術で計算することの方が多いです。
サードスペースを計算する上で忘れてはいけないのが、術後の観察につなげることです。
サードスペースを計算することだけが、重要ではなく、計算したサードスペースを術後の観察に繋げないと意味がありません。
そこで、計算して求めたサードスペースを術後の観察にどのように繋げていくかを解説していこうと思います。
サードスペースを術後の観察にどう繋げていくの?
それでは、計算式を用いて求めたサードスペースを術後の観察にどのように繋げていくか解説していきます。
事例:開腹術で胃切除を受けたAさん。体重60kg、手術時間は3時間。
この事例の場合、手術によって移行するサードスペースの求め方としては
中等度の開腹術の場合:3〜5ml✖️体重Kg✖️手術時間の計算式を用います。
実際に計算するとサードスペースに移行した水分は
3〜5ml✖️60kg✖️3時間=540ml〜900ml になります。
サードスペースは術後2日目ごろまでは、血管の外に存在しています。
なので術後2日目ごろまでは、血管中の水分(血しょう)は少なくなります(ムーアの回復過程:傷害期)
事例のAさんの場合、術後2日目までは540ml〜900mlの水分が血管の中から少なくなっていると考えます。
血管中の水分が減るということは、体を循環する血液の量が少ない訳ですから、循環血液量が少なくなっていると考えます。
循環血液量が減ることで、体にはどんな変化が起きるかというと、血圧が低下する、脈拍数が増える、呼吸数が増えるなどの変化が生じてきます。
もちろん、術直後はサードスペースに移行する水分量を考慮して輸液療法が行われています。
その為、循環血液量は維持されているので血圧の低下や脈拍数の増加、呼吸数の増加など循環血液量減少性のショックを起こすことは少ないです。
しかし、侵襲の大きな手術の場合は、サードスペースに移行する水分量も多い為、循環血液量減少性のショックをきたす可能性も高いので注意して術後のバイタルサインを観察しないといけません。
話を少しまとめると
サードスペースを計算する→サードスペースに移行した分の水分が血管から少なくなる
→循環血液量が減る→バイタルサインが変動する
が今まで解説した流れになります。
サードスペースを計算することで、術後のバイタルサインの変動を予測することに繋がります。
なので、サードスペースを計算しておく必要が出てきます。
術直後は血管からサードスペースへ水分が移行することで、循環血液量が少なくなることを話しましたが術後2日〜4日目ごろからサードスペースの水分は血管の中に戻り始めます(ムーアの回復過程の変換期)
血管の中の水分量が増えるといことは、循環血液量が増加していると考えます。
循環血液量が増加すると、心臓が送り出す一回の血液量も増えてきます。心臓の仕事量は一時的に増えている状態といえます。
一回拍出量が増えるということは、肺への血流量も増えます。
必要以上の血液が肺に送り込まれると、肺が水浸しになります。その状態が肺水腫です。
そうならないように、体を維持していく必要量以上の循環血液は、最終的に尿として排泄されます。
見出しの冒頭の事例のAさんで考えると手術侵襲によってサードスペースに移行した540ml〜900mlの水分が
術後2日〜4日目には血管の中に戻ります。
なので、術後2日目〜4日目の時期に尿量が増えていないかを観察するとともに、肺水腫や心負荷がかかっていないかも観察していく必要があります。
話をまとめると
サードスペースを計算する→サードスペースに移行した水分が血管に戻る(術後2日目〜4日目)→循環血液量が増える
→心負荷がかかる→バイタルサインが変動する
という流れになります。
なのでサードスペースを計算する目的を
二つの視点でまとめると
・サードスペースによって血管の水分が減ることで起きる影響(術直後)
・サードスペースの水分が血液に戻ることで起きる影響(術後2日目〜4日目)
を予測する為になります。
まとめ
・サードスペースとは、血管内の水分が滲みでてできたスペースのこと
・サードスペースの計算方法としては
体の表面の小さい手術の場合:1〜2ml✖️体重Kg✖️手術時間
中等度の開腹術の場合:3〜5ml✖️体重Kg✖️手術時間
広範囲の開腹術や開胸術の場合:5〜15ml✖️体重Kg✖️手術時間
・サードスペースによって一時的に減少した循環血液量や一時的に増えた循環血液量に伴う体内の変動を予測した観察につなげることが重要
今回、解説した内容がお役に立てたら嬉しいです!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
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