どうも!naoyukiです!
今回は術後の感染リスクに関する術前のアセスメントについて解説していくのですが
縫合不全や創傷治癒遅延の要素も含みますのでそこの部分も合わせて解説していこうと思います。
今回の記事のあらすじ
術後感染のリスクの関連因子が理解できる
術後の感染リスクを判断するために必要な術前のアセスメントのポイントが理解できる
術後感染のリスクの関連因子のまとめ
まずは術後感染の関連因子をまとめていきます。
術後感染のリスク状態の看護問題につながる関連因子としては①創傷治癒遅延②縫合不全③点滴ルートやドレーンの挿入などがあります。
なので術後の感染のリスクの看護問題を術前に判断するためには
①創傷治癒遅延になりやすい状態ではないか?
②縫合不全を起こしやすい状態であるか?
を中心に判断していきます。
③の点滴ルートやドレーン類に関しての情報は術前のアセスメントよりも看護計画の観察項目(OーP)に直接関与する内容なので今回は省きます。
術後の感染リスクを判断するために必要な術前のアセスメントとは?
術後の感染リスクを判断するために①創傷治癒遅延になりやすい状態ではないか、②縫合不全を起こしやすい状態でないかを術前にアセスメントする必要があります。
そこで①創傷治癒遅延や②縫合不全のリスクをアセスメントするために必要な情報を紹介するとともにその情報をゴードンの分類のどこに当てはまるかを解説していきます。
栄養状態(BMIや血清アルブミン値、総蛋白値)
理由:手術侵襲に伴う生体反応として蛋白の異化が更新し、体内のタンパク質の量が低下し、創傷治癒や縫合部の癒着が遅延するリスクがある。
ゴードンの分類:栄養/代謝
食事摂取量
理由:栄養状態と同じ
ゴードンの分類:栄養/代謝
糖尿病の有無(空腹時血糖やHbA1C)
理由:手術侵襲に伴う糖新生の更新→血糖値の上昇→感染防護機能の低下のリスクがあるため
ゴードンの分類:栄養/代謝or健康知覚・健康管理
薬物療法(ステロイドの内服の有無や抗がん薬の投与歴など)
理由
ステロイドの長期内服をしている場合→高血糖→免疫機能の低下
抗がん薬の投与歴があると副作用である骨髄抑制によって白血球、好中球の減少による易感染の可能性があるため。
採血データ:WBCや好中球など
ゴードンの分類:栄養/代謝or健康知覚・健康管理
喫煙歴
理由:ニコチンによる血管収縮に伴う酸素の運搬能の低下が起きるため
ゴードンの分類:健康知覚・健康管理
手術侵襲の程度
理由:手術侵襲が大きいと手術侵襲に伴う蛋白異化や糖新生の程度も大きくなり、創傷治癒や縫合部の癒着が遅延するリスクが高くなるため
ゴードンの分類:健康知覚・健康管理/栄養・代謝
事例を用いてアセスメントしてみるよー!
年齢・性別 70歳、男性
病名:食道がん
術式:右開胸胸部食道全摘術 麻酔方法:全身麻酔
手術予定時間:7時間
喫煙歴:ブリンクマン指数800(1日20本:20歳〜70歳の50年間)、2ヶ月前より禁煙している。
既往歴:術前にFP療法2コース行っている。2コース目は一ヶ月前に行っている
食事摂取量:病院食を全量摂取している。
BMI:22
採血データ
血清総蛋白値(TP)7g/dl、アルブミン値(alb)5g/dl、空腹時血糖値80g/dl、HbA1C5,6%
WBC6000/μL、好中球50%(3000/μL)
O情報
食事摂取量:全量摂取、BMI22(◯/◯)
術前にFP療法2コース行っている。2コース目は一ヶ月前に行っている
採血データ
血清総蛋白値(TP)7g/dl、アルブミン値(alb)5g/dl、空腹時血糖値80g/dl、HbA1C5,6%
解釈・分析
TPやalb値は正常範囲内である。食事摂取量も全量摂取できていることやBMIも正常であることから栄養状態に問題はない。
しかし、手術侵襲に伴う蛋白の異化に伴う血中のタンパク質の減少や糖新生に伴う術後高血糖による影響から感染防御機能の低下や創傷治癒遅延や縫合不全を起こすリスクがある。
WBCや好中球数は正常範囲内である。術前のがん薬物療法が行われたのが一ヶ月前であることからも骨髄抑制は改善していると考えられる。
O情報
年齢・性別 70歳、男性、病名:食道がん
術式:右開胸胸部食道全摘術、手術予定時間:7時間
喫煙歴:ブリンクマン指数800(1日20本:20歳〜70歳の50年間)、2ヶ月前より禁煙している。
解釈・分析
長年の喫煙歴からブリンクマン指数が高い状態である。そのため、呼吸器合併症や術後の創傷治癒や縫合不全などの合併症のリスク高くなる可能性がある。
また、手術侵襲が大きい手術であることからも術後合併症のリスクは高い。
術前の化学療法より禁煙しているため、コンプライアンスは良好であると思われるが術後合併症予防のための術前の呼吸訓練や喀痰の練習などの取り組み状況などもモニタリング していく必要がある。
術前の栄養状態や血糖値やHba1Cに異常はないが、手術侵襲が大きい術式であるため、手術に伴う蛋白の異化や糖新生に伴う血糖値の上昇の程度も大きいことが予想される。
また、禁煙はできているが長年の喫煙もあることから術後に創部の治癒遅延のリスクが高い。
また創部や術後に挿入される各種ルートやドレーン類は感染経路となり、吻合部の縫合不全を招くことにもつながる。
以上のことから、創部の治癒遅延や手術に伴い挿入される各種ルートやドレーン類に伴い術後の感染のリスクは高いと考える。
#感染リスク状態
アセスメントしてみましたが細かいことは省略しています。指導教員や指導者のアドバイスを元に追加・修正してね!
まとめ
今回は術後の感染リスクについて
術後感染のリスクの関連因子が理解できる
術後の感染リスクを判断するために必要な術前のアセスメントのポイントが理解できる
について解説しました!
今回の記事がお役に立てたら嬉しい限りです!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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